スペースウェザークラブ
宇宙天気の詳細

  

宇宙天気とは?

★宇宙天気について説明します★
地上の天気が変わるように、宇宙の空間の天気も変化しています。 宇宙の天気には太陽の状態が大きく関係しています。 太陽からはX線などの放射、コロナとして知られるプラズマの放出(太陽風といいます)、 そして放射による熱が放出されています。 太陽が荒れたときには、爆発現象が頻繁(ひんぱん)に起こり、 非常に高速度な太陽風や、 高エネルギー粒子が放出されることがあります。 これらの現象(げんしょう)が地球周辺の空間(宙空)、 地上へとどう影響(えいきょう)するかを 監視(かんし)し、予測する 宇宙天気についてこのクラブでは詳しく学んでいきます。

宇宙天気における太陽
地球は太陽から大きな影響を受けています。 太陽から来る主なものとしては、
1:光(紫外線,可視光線,赤外線)の放射
2:太陽放射による熱
3:秒速300km以上の太陽風:太陽から放出されるプラズマ粒子


地球は磁場を持っているため、 太陽風のプラズマ粒子を地球が直接受けることはありません(上図)。
地球は磁場によって守られていることになります。
しかし、太陽表面で猛烈(もうれつ)な爆発などが発生すると、地球の磁場も大きく変動して磁気嵐が発生したりします。


太陽で起こる現象
皆既(かいき)日食とコロナ画像(SpaceWeather.comより)
<太陽風>
太陽コロナから惑星間空間へ放出している希薄(きはく)な 超高速プラズマ流。
コロナは100万度以上の高温であるために圧力が高く、押し出されたプラズマが 太陽の重力を振り切って流れ出たものであり、コロナの一部と見なせる。
地球の公転軌道付近では、平均的な速度は約450km/sで, 粒子の密度は1cm3あたり2~5個程度で、主に*陽子と電子からなります。
(*陽子(プロトン):中性子と共に水素を構成する原子核。プラス電荷をもつ。
太陽内部の核融合では、このプロトンによりヘリウムが生じている。)

太陽風は太陽磁場の一部を(ともな)っており、地球付近での強さは数nT(ナノテスラ) の程度です。
(*1nT = 1-9 T = 0.000000001 T )

地球の表面の磁場の強さが数万ナノテスラ(nT)なので、
それに比べると太陽風の磁場強度はかなり小さいことがわかります。
太陽風の磁場は、太陽面上の磁場が起源(きげん)になっています。
太陽の自転により、約27日の周期で 磁場の極性(プラスとマイナス)、太陽風の速度など、
周期的に変化します。
地球への影響もこの周期に大きく関係しています。

SDO衛星による太陽フレアの観測
SDO衛星による太陽フレア ©NASA
太陽フレアとは?
太陽の表面で発生する爆発現象。太陽フレアは主に太陽黒点の周囲で発生し、小規模なもので数時間、大規模なものでは
数日間継続する。太陽フレアは高速の電子、陽子、イオンを解き放ち、同時に広い周波数の範囲の電磁波を放射する。
放射される電磁波には、可視光線・ラジオ波、X線、ガンマ線が含まれる。太陽フレアが発生すると、電磁波の他に
高エネルギー荷電粒子が惑星間空間に放出される。これをコロナ質量放出、またはCMEという。




SOHO衛星によるコロナ質量放出(CME)の観測
SOHO衛星による画像©NASA

コロナ質量放出(CME)とは?
太陽活動に伴い、太陽から惑星間空間内へ突発的にプラズマの塊が放出される現象。太陽フレアにともなって放出されることが多く、
太陽磁場の影響に帰せられる現象である。観測によると、惑星間空間における規模は非常に大きく、エネルギー的にも高く、
高温のプラズマや相対論的な高エネルギー物質の集合体である。放出されたプラズマは、通常の太陽風の速度(~400km/sec)
よりも速く広がり、CMEsによって圧縮された空間に発生するショック面(通常、CMEsの前面)の速度は、700~800km/secにも
達する場合がある。これが地球磁気圏に衝突すると、大きな地磁気変動が引き起こされる。

コロナ質量放出が発生した場合、SOHO太陽観測機のLASCO(Large Angle and Spectrometric Coronograph広角分光コロナグラフ)
にて観測できます。(上記画像)

コロナ質量放出(CME)についての詳しい説明はこちらから©NICT

X線によって観測された太陽活動周期(「ようこう」衛星 ©JAXA)

太陽の活動周期とは?
太陽は、約11年の周期で活動が活発になったり(黒点数が増えたり) 極小になったり(黒点数が減ったり)と変化しています. この活動周期の影響を地球も受けています.
左の画像は、JAXAの「ようこう」衛星によってX線で観測された 太陽の活動周期です。
極大期では、X線の強度は強まり、特に黒点上空の活動領域(白く見えるところ)から 強いX線が観測されています。 極小期では、X線の強度は弱まり、全体的に暗くなっているのが分かります(奥の図)。

次の画像は、過去からの黒点数の変化です。
今(2018年)は極小期に向かって黒点数が減少している(太陽活動が静穏の状態)時期です。
太陽活動が活発な時期には、フレアも多く発生します。


1985年以降の黒点数の変化(©wikipedia)

1600年以降の黒点数の変化(©wikipedia)